タイ人にきょうも助けられて・・・

これまでタイ人を酷評してきたように思う

タイ人の仕事ぶりを見ていると日本人はつくづく勤勉だなと思っていたからだ。

自分は日本人、先進国からきた人間だというおごりがあったからなのかもしれない。

東南アジアに暮らしていると日本人はある種羨望のまなざしで見られているという錯覚があり(単に高いものを身につけていたり、金払いがよかったりするだけかもしれないが)自然とタイ人を下に見ていたのかもしれない。(本当はタイ人のほうが優秀で金持ちだったりするのだが)

作業効率とか勤労意欲とかを抜きにして考えれば、タイ人ほど崇高な精神をもった人々はいないように思っている。

崇高とは高い徳を持っているということではなくて

人の心を和ませる、癒すことができるという意味でである


毎日、散歩をするときには野菜と果物の市場を通るが、そこにはいつも声をかけてくれる男の子がいる、そして笑顔できょうはマンゴーがいい具合だよとか言ってくれるおばさんがいる



こういった人たちがいるだけで散歩が楽しくなる。

海岸に出れば、道路を掃いたりゴミを捨てている男性がいる。

彼は毎朝手を振って、散歩する我々を迎えてくれる。

うん、きょうも海は良い感じだなと思いながら

海岸で少し休憩、一息入れると帰りは行きとは別のルートで戻る。

途中にはバイタクのお兄ちゃんが2人、いつも笑って椅子に腰掛けている。ときどき朝食時のパートンコーを食べているときもある。

”どうだ、ひとつ食べないか?”
と勧めてくる。

すごくまずそうなので、こちらは思わず苦笑いして遠慮するが、ともかく勧めてくれる心意気がうれしい

道路はでこぼこで毎日どこかの水道管が破裂して道路は水浸し、ゴミはにおいっぱなし、野良犬はうろつきまわる・・・

それでも1回の散歩をすると少なくとも20人の人たちに「サワディークラップ」を言わねばならない、そして彼らからもお返しに満面の微笑みをもらえるのだ

こんなに貧しくて汚いのに
どうして彼らは毎日楽しそうにしていられるのだろう

思えば、お客さんの運転を担当するドライバーたちに、私はいちいち文句をつけてしまう(仕方のないことなのだが)

急げとか、高速を使えとか、時間変更だとか
数々の要求に対して彼らは文句ひとつ言わず、OK OKと従う

ホテルの車止めではにっこり笑ってお客さんの荷物をトランクに詰め込む

「きょうのお客さんはTG○○便だから、○○時までには空港に到着してくれ、途中サービスエリアから電話をくれ、それじゃ気をつけて・・・」など言いながら送り出す

ドライバーは「OKクラップ!」と元気良く返して車を発進させる。

これが日本人スタッフだったらどうだろう

言葉は日本語だからすべて理解するだろうが、作り笑顔をしていやいや返事するならはわかってしまう

日本人は微笑みを自然に浮かべることが不得意な民族だから
何か頼まれても、はいわかりました、と静粛な顔をするだけだろう

そうか、我々はこんな風にしてタイ人に助けられて生きているのだなと思う
有難いことだ

我々はタイ人の助けなくして一日も生きられない ということを改めて自覚するのである