みなさんは、東南アジア一帯にサービスを展開しているタクシーアプリのグラブ(Grab)という会社を存知だろうか?
グラブは、シンガポールミッドビュー・シティに拠点を置く配車アプリ運営企業である。現在マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、カンボジア、ミャンマーなどでサービスを展開している。(台湾ではGrabは使われずなぜかUberである)
タイ王国においても、6年前の2013年からサービスを始めており、従来の不安たっぷりのタクシーに比べ、ドライバー情報や位置情報がわかること、アプリを通して予約できること、クレジットカードを登録しておけばキャッシュレスで決済できること、【万が一のことがあってもサポートしてもらえるのでは?】との安心感から利用者が急増している。(日本では残念ながら、このようなサービスはまだのようである)
こうしたサービスにはいつも賛否両論あるのはわかっているが、
問題が起きない限り、極めて利用価値のあるサービスだと思っている。
ドライバーの身元も分かっているし、利用者はドライバーを評価することができるのは画期的だと思う。
ご存知の通り、タイの民間タクシーは全くといっていいほど言葉は通じず、たいてい車両は小さくオンボロで、頼まないとメーターを使ってくれず、道も知らず(有名ホテルでさえ知らないことが多く)無謀な運転をしたあげく、日本人とわかれば高額を吹っかけてくるし、女性ならやぶの中に連れ込んでレイプしたり、という例が当たり前のように横行しているので
Grabにはそういった心配がないので、非常に安全かつ便利だ、と思っていた。
おまけにグラブ(以下Grabと表記)に登録しているドライバーは、車の新旧や車検証明、運転歴、身元情報などをGrab本社に登録しなければならない。
顧客から苦情を受けると再訓練されたり、業務停止処分を受けたり、ひどい場合には解雇されたりするので、真剣にならざるを得ない。
しかし、である。
これがシンガポールやマレーシアだったら、そういうことも実行されているのだろうが・・・
この【すべてがいい加減なタイランド】
においては、それが守られていな場合が多いのである。
私(ひでき)自身、これまで50回くらいGrabを利用してきたが、タイ国内においては、パタヤーだけで、それも近距離のみであった。
12月に地元在住者の集まりがあってバンコク=パタヤー間をGrabを使って乗車するといくらぐらいするか、という話題になった。
Grabでバンコク=パタヤーのような中距離を走った場合、高速代込みで2,000B弱ということなので、民間タクシーよりは少し高い相場という話であった。
12月も後半になって、在タイの日本大使館に用事があったので、バンコクへ行くことになった。
年末年始のお客様が来るまでホッと一息つけるなと思ったので、念願だったタイ国有鉄道の特急列車に乗り、バンコクへ向かった。
(いつもなら会社のドライバーが送迎してくれるのだが、自分たちの都合で彼らを振り回すのも申し訳ない、それも片道だけだと報酬もチップも少ないのでかえって可哀想だと思ったので、思い切って別の手段を選んだ)
バンコクでの用事を済ませ、さてパタヤーまでの帰路は、タクシーにしようか、と考えていたとき
【バンコクからの帰り道、パタヤーまでGrabを使ってみるのはどうだろう?】
ということになった。
これまでの利用歴からして、Grabには良い印象しかなかった。タイ国内でもそうだったが、ベトナムやマレーシアにおいても、ドライバーたちはきちんと業務をこなしてくれていたし、チップを要求する輩もいなかった。
しかし、タイの神様はこの年末、私たちに思わぬ
【クリスマスプレゼント】
を用意してくれていた。
私たち(ケンとひでき)はホテルをチェックアウトしたあと、Grabアプリを操作し、スリウォン通りに面した私たちのホテルの前まで、Grabタクシーを呼んだ。
Grabの車両は約5分で到着し、ホテルの車止めまで入ってきてくれた。”なかなか親切なドライバーだな” という印象をもった。
しかしその時、私はそのドライバーがとんだ食わせ物だったということを知る由もなかった。
車両は三菱(Mitsubishi)のミラージュ(Mirage)であった。うちのドライバーたちはほぼ全員がトヨタ(TOYOTA)のカムリ(Camry)を使っているので、最初は小ぶりな印象があったが、乗ってみると車内はそこそこ快適スペースには余裕があるように見えた。
三菱という会社はタイでは残念ながら、三番手、四番手であるが、このミラージュという車はそこそこ人気である。
コンパクトにして機能的かつ燃費も良く、快適、価格も良心的ということが理由だろう。