まずは洪水のお話しから・・・
タイ人は洪水などの自然災害が起きてもわりと平気で過ごしています。
日本人から見ると、へらへらしているようにさえ見えます。
これはどうしてでしょうか?
ただ、タイ人とは日本人とは精神的な構造が違うだけなのだと思います。
そもそもタイ人と日本人とでは生きてゆく社会のベース的考え方が違い過ぎます
日本では災害が起きるとすぐ対策本部が設置され、早速に行動が開始されます。
こうしたことが起きる背景には、日本にはそうせざるを得ない事情があるからです。
つまり、何よりも大事な生産活動をやめるわけにはいかないからです。生産活動とはお金を稼ぐ労働のことです。
タダでさえ、カネがかかるように出来ている日本です。
カネを稼がねばきょうのご飯も食べられない、これがどうにもならない日本の現実です。
ところが、タイにはそういった緊急の必要性がありません。
裏の事実をはっきり言ってしまえば、日本は金に縛られた奴隷社会なのです。
それを裏付ける何よりの証拠が支払い地獄です。ローンや家賃・生活費などのつまり生きてゆくための費用は世界どこでもかかるものですが、日本の場合はそれが
極端に厳しい、そして額が大きい。
だから金を使わなければ、日本では生活はできません。
タイに比べれば高額とも思える額を毎月払い続けない限り、日本では生きてゆくことができないのです
そういうシステムになっているのです!!
いや生命維持くらいはできますが、支払い不能に陥ると 破産者もしくはダメ人間の烙印を押されてしまうのです。
そして後ろ指さされます。あの人はまともではない、という言葉とともに。
この恐怖がある限り、仕事は辞められません。
だから日本は恐怖に支配された奴隷社会だと思うのです。
ではタイ人はどうかというと?
タイ人はあまり恐怖を感じていません。
というか恐怖を感じさせるような気配や要因がないのです。
南国の豊かな緑に囲まれて生活している人の中に怒鳴る人はあまり居ないのです。
それに、タイ人に支払い義務はあってもそもそもそれをきちんと履行している人は少ないのです。
この辺をモラルが低いという人もいるでしょうが、違います。
勝手にモラルを押し付けてきたのはヨーロッパ人であり、先進国の人たちなのです。
もともと果物と植物だけで豊かに生きていた人々の中に勝手に入り込んできて資源を搾取し、彼らに工場で賃労働を勧めたのは先進国の人間です。
これでタイ人の生活が楽になりましたか?
かえって苦しくさせてしまったのではないでしょうか?
はい、少しはなったかもしれません。
でも、私に言わせれば、そもそも不要だったローンでモノを買わせる仕組みに強制的に参加させただけ、ということです。人間の欲望を利用して・・・
だからかわいそうにタイ人は毎月月末になるといくらもしない中古車のローンも払えずに友だちからカネを借りまくっています
タイ人はもともと持てる者たちだったのに、先進国たちが勝手にタイ人を持たざる者にしてしまったのです。
タイは経済が悪いとか言う人がいますが、そもそもタイには貨幣経済や工場制労働などなかったのですから
タイ人最初から就職などしていません。
正社員などの仕事にもついていません。
例えばパタヤーでは大多数が性産業に従事していて、会社員などやったことのない人たちばかりです。
なので、かなり状況は悲惨と言えますが、それで悩んで自殺する人間はひとりもおりません。
みんなあっけらかんとしています。いつでも木の実がなっています。大雨が降っても食べるものくらいどこにでもあります。
そうでなければ先に極楽浄土に行けるから楽だ、くらいにしか考えていません。
あれこれ取り越し苦労をして、悩んでいるのはアジアでは日本人くらいなものです。
ゴーゴーの姉ちゃんたちは、家族に送金しなければならないので、自殺どころではありません。
そう考えると貧しいのはむしろ日本のほうです。
あれほど衛生状態や医療事情が良くても、その影で毎年何万人と自殺しているのはどこの国ですか?
会社に忠誠を誓わされ過労死までさせられ、その理由を裁判ではっきり主張できなければ労災も下りない国はどこですか?
それを考えると日本とタイを単純に比較して、日本が豊か、タイが貧しいということはできなくなるでしょう。
私から言わせれば、精神的にがんじがらめになっている日本のほうがよほど苦しく精神的に貧困な社会だと思っています。
(ひでき:やしの木エッセイから抜粋)