昭和天皇が亡くなったときは涙が出なかったが
なぜかプミポン国王が亡くなったと聞き、不思議と涙が溢れてきた
個人的な話になるが・・・
そして、当然のことながら、私自身国王に会ったことはないが・・・
崩御の知らせを聞いたとたん
あの曲が突然心の中で流れ始め
それが頭の中で何度も繰り返されたのである
そして思わず涙が出てしまったのである
あの曲とは・・・
国王を称える歌である
春の穏やかな日差しのなかに、うっすらとした悲しみと愛情を感じさせる曲である
実はこの曲、タイの映画館では上映開始前に当たり前のように流れる曲だが
それが私がタイに来てからの日々と重なっていて
万策尽きて、どん底の日々にあって
旅行者のように楽しむこともできなくなったとき
なけなしの100バーツで映画を見に行ったときに遭遇した曲だった
思えば・・・
タイはゲイに優しい国
という安易な思い込みだけでそれまで滞在していたスペインからタイに移動し
まったく何の計画もなく起業してしまい
その後、半年間は集客の見通しもつかず
経費ばかりが出てゆき
所持金が減るばかりの日々だった
明け方、ひとり浜辺を散歩しながら
”ああもうすべて終わりだ”
”自殺するしかないな”
”自殺するならあの岩がよさそうだ”
”いっそあそこから飛び込んでしまえ”
と思っていた
ケンジには内緒だったが
何度もそう思っていた
私に自殺を思いとどまらせたのは
・ケンジがひどく悲しむだろう
・死体を日本に搬送してもらうのはかなり大変そうに思えた
という二つの理由だった
思えばあれが一番つらい時期だった
王様には申し訳ないが
この曲は国王への想いというよりは
そのときの思いに重なっている
それでも国王はわれわれに近い存在だった
昼も夜も
街中でも国内どこにいても
いつも我々を見てくれていたあの方
それが国王だった
優しい顔をしたあの方はもういないのだ
そう思うとまた涙が出てくる
国王は自分にとってタイのお父さんだった
でもタイ人にとってはこれからも心の中に生き続けるお父さんなのだ
タイ国民よ、悲しいでしょうが
それでも、元気を出してください
みなさんが笑顔で働き
みなさんが笑顔で観光客を迎えてくれることを王様もお望みだと思いますよ
日本人もタイ人も同じです
あなたたちは私たちの大切な友人、そして家族です
最後に
ありがとう、お父さん
そして
さようなら、お父さん
合掌
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