そもそも彼女は夫を愛していたのではなく、夫の家族の名声、夫のハンサムな顔立ち、立派な肉体とそれからもたらされる性欲の満足を期待していたのかもしれない。
実は、外見が派手な男に限って、生活力も家庭を守る能力も無いことが多いのだが、そんなことには気づかず、己の欲望のまま突っ走って結婚まで押し切ったのであろう。
夫の本質を見抜けなかった彼女の愚かさというより欲の深さが彼女自身を裏切ったと判断できる。
自分はそこそこ美人で仕事もできる、夫もハンサム、家柄も問題なし、自分たちはハワイで結婚式を挙げたくらいのセレブ夫婦、そんな非の打ち所がない夫婦は離婚などするはずがない、と誤算していたのだ。見事な誤算だ。
話をタイに戻そう・・・
最近、タイに移住中で~すという軽いブログを書いている老若男女がたくさんいる。
一見羨ましくも見えるそういう人たちの生活だが、実は納税もしておらず、きちんと日本人としての義務(もしくは在住者としての義務)も果たしておらず、いわゆる居所定まらないプー太郎の場合が多い。
異国暮らしのつまらなさや寂しさから逃れるため、ブログを書いている例がほとんどである。
(寂しさを紛らわすためにブログを書くのは悪いことだと思わないが、問題はその内容である・・・)
ブログの内容が、南国での豪遊だろうが、女遊びだろうが、男遊びだろうが、そんなのは本人の勝手だが・・・
結局のところ、どこの国、どこの世界に行っても、絵に描いたようなバラ色の人生など存在しない。
だから海外暮らしの良い側面だけを切り取って「毎日楽しい、楽しい」と書いている人間のブログには絶対嘘がある、と思ってしまうのだ。
タイも数年住めば、現実が見えてくる。
旅行者のときは気にならなかった犬の糞やごみの臭いが気になるようになってくる。
あれほど好きだったタイ人もすべてカネで動いてるのがわかってくる。
やがて気がつくのだ。
この世に楽園なんて存在しない、と。
すべてが綺麗ごとで済めば小説は生まれないのだ。